映画『セッション』について("Whiplash")

本日は少し前にBlu-Rayで観てあまりの衝撃に全身鳥肌が立ってしまった映画『セッション』についてちょっぴりお話したいと思います。

この映画は2016年に劇場公開され、アカデミー監督賞や主演女優賞を受賞した映画『ラ・ラ・ランド』の監督Damien Chazelleが脚本制作も務め作り上げた音楽ドラマになり、ジャズドラマーを目指す才能溢れる若者(主人公)が、自身が在籍する有名音楽学校で、スパルタ教師による想像を絶する熱血指導を受けながら飛躍的成長を遂げていくという話なのですが、その熱血指導というのがも~序盤から常軌を逸していて、ドラムビートのカウントが合うまで主人公の頬をはたき続けたり、かと思えば突然シンバルを投げつけてくるなど、現代社会であれば分刻みでパワハラで訴えられてもおかしくない展開(汗)。

この映画では、金八先生やRookiesなどの教師ドラマに登場するような、生徒一人一人を心から大事にし、人として正しい方向に導いてく立派な先生像というものは全くの皆無で、むしろ生徒一人一人を心から憎み心身共に破壊させていく事により、そこから唯一無二の才能を開花させるという超荒業な教育方針をとっていくわけです。勿論、全ての生徒がその過激な教育方針についていけるはずもなく、とりわけ才能を密かに見出されていた主人公は幾度となく肉体的・精神的に追い詰められていきます。

そしてその無慈悲なSM的展開は終盤まで続くのですが、衝撃のラストにより観客は見事に裏切られ、そして感動の嵐に襲われる事になるのです。

この鬼のようなスパルタ教師を見事に演じたのが俳優J.K.シモンズ。コミカルな映画や心温まるヒューマンドラマに出演する機会も多いこの俳優が、まさかここまで狂気じみた役を演じるとは思わず、しかも相当なハマり役だったことに、監督の配役におけるセンスの高さを感じました。

低予算映画でありながら数々の映画賞を受賞した本作。今まで沢山の映画を観てきた私ですが、そのストーリー展開の衝撃度や俳優の名演技、カメラワークの秀逸さなど、総合的に評価してベスト20には入るのではないかと思っています。

まだご覧になってない方は絶対に観て損は無い映画だと断言しますので、是非観てみて頂きたいです!

映画『ア・ゴースト・ストーリー』について("A Ghost Story")

本日は先月観た映画『ア・ゴースト・ストーリー』について、ちょっぴりお話したいと思います。

作品のテーマは”人は死後どうなってしまうのか”というもので、物語も主人公が不慮の事故により死んでしまうところから始まります。

死体安置所で白いシーツを被せられ横たわっていた主人公が、突如ゆっくりと起き上がり、いわゆる幽霊としてふらりふらりと歩き始めるのですが、白いスーツを頭から被った状態のため見た目は完全にオバQ。ついでに目の周囲のみ穴が開いており、でも中は真っ黒なため表情は一切分からないという状態。

そんなオバQ幽霊となってしまった主人公がひとまず家に帰ってみると、自身が去ってしまった後の現実世界で、自分という存在が世の中の記憶からも消え失せていく様をまざまざと見せつけられていきます。

物語は終始淡々としたペースで展開してゆくのですが、主人公が未だ内に残す大切な人への想い、そしてそれすらも壮大宇宙の時間軸の中で零れ落ちていってしまう様子は、映画を観ている人達に様々な感情を起こさせる事になるのではないかと思います。

実際、観ていた私にも切なさと愛しさと心強さ(は、なかったかなw)といった幾つもの感情を引き起こさせました。

監督はDavid Lowreyという方で、年齢は36と若いのですが(というか自分と2つしか変わらない 汗)中々面白い映画を作るなと思いました。

2019年にはあのピーターパンを題材にした映画を監督するらしく、今後の活躍に期待したいですね!

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映画『ブレードランナー2049』について("Blade Runner 2049")

どうも、豪州在住5年のワダポンです!

今回は10/5にオーストラリアでも封切られたハリウッド映画『ブレードランナー2049』を鑑賞したので、そちらの感想についてお伝えしたいと思います。

私自身、特にオカルト的人気を誇った前作『ブレードランナー』の大ファンというわけではなかったのですが、今回監督を務めたのが、2016年に公開されて大ヒットした『ARRIVAL(邦題:メッセージ)』のDenis Villenueve監督だった事もあり、それなりに期待をして観に行ったところ。。。想像を数段階も上回る出来栄えで、久々に超骨太なSF大作が観れたという感じでした!

前作の世界観も所々に残しながら、引き続ぎ物語のキーになる人間とレプリカントとの共存共栄を目指す中での試行錯誤と、その先にある未来(=可能性)に関する考察にはよりディープさが増し、2時間43分という長い上映時間でも全く飽きさせないようなストーリー展開と美しい映像の数々!(気のせいかもしれませんが、日本のアニメ『攻殻機動隊』や『AKIRA』からインスピレーションを得ているのではと思うシーンも幾つかありw)

本国アメリカをはじめ世界各国で傑作と評されているこちらの映画『ブレードランナー2049』を、是非大勢の方々にも観てもらえたら嬉しいです!

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