映画『デトロイト』について("Detroit")

本日は2017年に公開された映画『デトロイト』についてちょっと話をしたいと思います。本作は1967年に実際にアメリカで起こったデトロイト暴動(デトロイト12番街(黒人街)での住民と警察/軍との衝突)の最中、とあるホテルで発生した警察官による三人の黒人青年射殺事件を題材にした映画で、2010年に女性として初めてアカデミー監督賞を受賞したKathryn Bigelow(キャスリン・ビグロー)監督の第三作目に当たります。

移民と奴隷制度を取り入れた事から常に人種差別という社会問題に直面してきたアメリカにとっての一つの悲劇的な事件であり、特に昨今グローバリズムに対する批判や白人至上主義への回帰が見え隠れする世の中で、このような映画を制作した監督に敬意を表したい一方で、少し過剰ともいえる演出(警察官による暴行シーンが延々と続くプロット等)は見ていて心が苦しくなりました。

監督は2014年に発生したファーガソン事件(白人警官が丸腰だった18歳の黒人青年を射殺、不起訴となった事件)等を見て、人種差別と警察の権力乱用に警鐘を鳴らすべく本作を制作する事を決めたのだとか。

ただ残念に思ったのは本作は当初限定公開だったこと。映画ビジネスとして興行成績を気にするのは仕方無いと思うし、基本ドライであって良いと思う一方、本作のような特に現代社会の歪みを露呈してくれる(又は気付かせてくれる)映画はもっと大々的にPRして脚光を浴びても良いと思いますね。

と、いうわけで昨今の人種差別に対する問題意識を高めたい、知識として知っておきたいという方にはオススメの一本となっております!